白石ちえこ写真展『ホエール ウォッチング』を観た


鵜の木のアートギャラリー「Hasu no hana」で開催中の写真展、
『ホエール ウォッチング』を観て来た。

「雑巾掛け」という写真古典技法で表現された写真作品。拝見するのは初めてだった。
写真のようには見えなくて、絵画のような、版画のような、でもやっぱり違うような。

最初に「雑巾掛け」の単語を見かけた時は「なんだろう?」とは思ったけれど、
観ているうちに、だんだんと画面の中の暗い世界に引き込まれた。
この暗いところに何が居るだろう?ずっと見つめていたら見えてくるかもしれない。
誰かが今までそこに居て、立ち去ったばかりなのかもしれない。
そんな生き物やモノの気配を感じられた。画面の横から何かが現れてきそうな。
額の輪郭がなくなって、ボヤボヤとジリジリと、滲むように世界が広がって行く気がした。

作者の白石ちえこさんが在廊されていたので、お話を伺うこともできた。
暗くしていると、じっと見つめてしまうでしょう。そこに何があるんだろうって。
そうしてじーっと集中して観ているうちに、ピピピと脳が研ぎすまされて、
観ている人は知らず知らずのうちに作品と対話しはじめる。その人ならではの風景が見えてくる。
暗くしているのはそれが狙いなんです。
そんなようなことを仰っていた。なるほど!

「雑巾掛け」の手法ではボヤッとした仕上がりになるのだろうか。
その手法が白石さんの表現したいカタチとピッタリ合ったんだろう。
「雑巾掛け」をやりたくてやっている、というよりも、
目的を達成するための手段がたまたま「雑巾掛け」だったのかな。
これだ!という表現が見つかった時は、最高の気分だったんだろうな。

何でどうやってつくられた、ということよりも、何を表現しているのか、に集中できた気がする。
絵を観ると、どんな画材で描いたのか、紙は何を使っているか、とか
いらんスペックを気にしてしまう時がある。
本来、鑑賞する際にはそんな情報は考える必要ない。
表現された世界を楽しむには、そんなことを考えているうちは、集中していないってコトなのかもしれない。
今回の展示ではそんなことも感じられた。

私はよく「何で絵を描いているんですか?」とか、「どのくらいの時間をかけているんですか?」とか
よく聞かれるけど(興味を持っていただけるのは、とてもありがたいです)
それを聞かれないくらいの絵を描かなければ、とも思った。


同人誌「四月と十月」を二冊購入。白石さんの作品が掲載されている。
いろんな作家さんが作品とエッセイのような文章を寄稿されていて(しかも名のある方々)、とてもおもしろい。
物書きじゃなくても、みなさんの書く文章がなんかイイ。
誌面の組も美しいし、いい本だ!

アートギャラリー Hasu no hana
大田区鵜の木1-11-7
Open:12-19 L.O 18:30 Close:木曜日&不定休あり
URL : http://hasucafe.petit.cc/
E-MAIL : hasucafe@sw.sub.jp