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紀伊國屋展2015 終了しました その2

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その2では拙作の出展作品について。 ◆第1週『時代物/美人画』  紀伊國屋展2015に向けての唯一の描き下ろし作品。普段人物を描かないなかのが人物を描いたって!?と興味深く思ってくれたのか、珍しい面々にも会場に足を運んでいただくきっかけになったようで、苦手な人物画に挑戦して良かったなぁと思いました。仕事依頼の際に「動物と同じタッチで人物は描けますか?」と質問されることが度々あるのですが、毎回「描けません。そもそも人物が描けません」と断っています。もうお手上げ状態だったのですが、そんなことを毎回言って逃げていては一向に絵はウマくなるハズはないので、挑戦してみようという気持ちになって(仕事ではないからその分プレッシャーがが少し自分の中で弱まったのか)人物画に取り組みました。結果…意外と楽しく描けました。いつも人物を描く際に、動物のように描き込める場所がない!と悩んでいたのですが(だって毛穴とかを一生懸命描いたってキモチワルイだけだし)、毛髪、刺青、着物、小物類、あと得意な動物とペアにする、など自分が描くことに集中できるアイテムに焦点を当てて描いてみたら…うん、なくはない。というか、この方向性でやってみよう!という光明のようなものが見えてきました。頭で考えていてもしゃーない。手を動かしてみなければ、先には進めないということが痛感できた作品でした。 「刺青」 「女と蛇」 縁あって、ロシアと日本を行き来しながら雑貨屋さんをされている方に「女と蛇」を気に入っていただけて、この絵を使用した名刺制作のご依頼をいただきました。もう既に入稿・印刷済み。ロシアに帰国される前に仕上がってよかったです。 ◆第3週『ファンタジー/絵物語』 展覧会には初出展の「えんにち」表紙絵は、これまた今まで描いたことのない雰囲気の絵でした。この絵が描けたから、第1週の人物が描けたのかもしれない。他の書籍の表紙絵もそうですが、自分一人では想像しきれない世界へ連れて行ってくれる小説作品は、本当に尊いです。物語を創造できる作家を心から尊敬します。 「えんにち」表紙絵原画(マルカフェ文藝部発行) 「おすし」表紙絵は実はか・な・り気に入っています。我ながら面白い絵だなぁ〜としみじみ思います。こんなに面白い絵を描かせてくれたマルカフェ文藝部に乾杯。

紀伊國屋展2015 終了しました その1

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5/29〜6〜25まで、紀伊國屋書店新宿本店で開催されていた「 紀伊國屋展2015 」無事終了致しました。お越しいただきました皆様、誠にありがとうございました。 私にとっては 日本出版美術家連盟 に入会して初めての展覧会参加でした。今まで小さなグループ展に出展したことは何度もありましたが、今回経験したことは「はじめて」のことがたくさんで、多くのことを学ばせていただきました。 初めて知る作家さんも多く、その原画を前にして今まで存じ上げなかったことを恥じました。第1週から第4週を通して、一番衝撃を受けたのは田代光さんの挿絵でした。皆さん雲の上の方々ばかりで私は遠く及びませんが、なかでも田代光さんの絵は、3年前にダヴィンチの展覧会でグレーデッサン(もしかしたらダヴィンチの弟子だったかも…でもスゴかった)を見た時と同じ衝撃を受けたくらい、「なんてウマいんだ!!!!」と感銘を受けました。私もあんな風に絵を描いてみたい。 田代光さんの挿絵 堂昌一さんのペン画も素晴らしいです。白と黒のコントラストがこんなにも美しいなんて。また、物語世界の躍動感。描かれた人物がどのくらいのスピードで走っているのか、克明に伝わるその描写力には鳥肌が立ちます。  堂昌一さんの原画。肝心のペン画は撮影しておりませんでした…。 私は第1週・第3週・第4週に出展していましたが、第2週も含め全部の週に何度も足を運んだので、たくさんの先生方から絵の描き方、過去のお仕事、画材のこと、たくさんお話を伺うことができ、とても勉強になりました。先生方はどんなささやかな当たり前過ぎる質問でも快く答えてくださり、楽しい時間を過ごしました。 第2週のりものにご出展された水野行雄さんには、メイキングを詳しくお話いただきました。 ★水野さんのイラストメイキングについて 第4週ミステリーにご出展された杉本一文さんにも、過去のお仕事、現在の作品、使用画材などの貴重な創作のお話から、麻雀して遊んだ阿佐田哲也さんのこと、宝クジがあたったら何がしたいかなんて愉快なお話まで、たくさん伺いました。お持ちになられていた画集を拝見させていただきながら、50歳からエッチングの創作をはじめたキッカケや、「杉本一文」の作家名誕生秘話なども、どれも興味深く楽しいお話でした。

イラストレーター・水野行雄さんにお話を伺う

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某日。イラストレーターの水野行雄先生に、絵の描き方を教えていただきました。現在開催中の「紀伊國屋展2015」第2週『乗り物/陸、海、空、宇宙(そら)』では、水野先生の去年展覧会で発表された作品とは別の原画が展示されています。メイキングのコピーをいただき、そのコピーと実際の展示されている原画を拝見しながら、とても詳しく語っていただきました。 紀伊國屋展2015 ◆第2週『乗り物/陸、海、空、宇宙(そら)』 2015年6月5日(金)〜11日(木) 電車、汽車、車、戦艦、ロケットまで全ての乗り物の世界 http://syuppanbi.com/webmag/?page_id=648 水野先生は旧日本軍の戦艦・軍艦・航空母艦などの艦艇(プラモデルのボックスアート、雑誌、書籍等に掲載)や、スポーツイラストなど、他様々なお仕事を手がけられています。その仕事は全て手描きで制作されています。制作行程を伺い、精巧な絵画がつくられるには、これほどの手が加えられていたのかと驚きました。 以前にも資料を購入している書店や、イラストレーターを目指すきっかけになった作家など、お手紙で教えていただいておりましたが、もっと詳しくお話を伺うことができて、とても楽しかったです。 水野先生とは去年の7月、「バートックアートフェア」(京橋バートックギャラリーで開催)に私が出展した際に、オープニングパーティーにお越しいただきまして、初めてお会いしました。その後、水野先生の展覧会「船展」(銀座ギャラリーミハラヤで開催)に伺ったりなどして、何度か原画を拝見させていただく機会があり、お話させていただくようになりました。 ◆◆◆ 先日伺った制作工程を思い出しながら、メモします。 思い出しながら書いているので、間違っている箇所があったら直します。 ①情報収集 旧日本軍の艦艇の場合、どんな写真・文字情報もすべて大事な資料となる。兵隊達の船上での記念写真や、小さな写真、文字による記録など…。図面が残っている船は全てではないようで、細切れに記録されている情報を、自分で繋ぎ合わせ「推察」する。「想像」ではなく「推察」と強調されていたことが印象に残った。リアルを描くにあたり必要な能力は、確かな「洞察力」が必要のようだ。 ②下書き 誰に見せても恥ずかしく